世界の迷機・珍機その2 「マクドネル XF-85 ゴブリン」
今日は冷戦期のアメリカの迷機、「XF-85 ゴブリン」を紹介します。
XF-85 ゴブリン
……
ダサい!
開発経緯
XF-85 ゴブリンは、アメリカで、爆撃機に搭載されて爆撃機を護衛する「パラサイト・ファイター」として開発されていた戦闘機です。
敵戦闘機が攻撃してきたら、爆撃機に搭載したXF-85を発進させて迎撃、戦闘が終了したら母機である爆撃機に帰還する、というものです。
つまり…
こういうことです。
でもちょっと待ってください。
爆撃機の爆弾倉に入る程度のサイズの戦闘機で、本当に爆撃機を攻撃してくる敵戦闘とまともに戦うことができるのでしょうか?
機体サイズは非常に小さく、全長はたったの4.5m、全幅は6.4mです。全長も全幅もゼロ戦の半分しかありません。
こんなのが、
こんなのや、
こんなのと戦わなければならないんです。ちょっと無理があるんじゃないんでしょうか?
そもそも見た目からして樽に翼とコックピットをつけただけみたいな見た目です。まともに飛べる気がしない…
戦闘機を爆撃機に収容するというのもアイデアに無理がある気がします。巨大な航空母艦に着艦するのでさえ相当な技術が必要とされるのに、飛行甲板もない小さな爆撃機に戦闘機を帰還させるなんて…
こうなったり、
こうなる未来しか見えません。
しかも機体をよく見てください。降着装置がありません。もし母機に帰還できなかったときはどうするんでしょうか。不時着するしかないんでしょうか。
試験
このゴブリン、実際どうなったかというと…
端的に言えば、失敗しました。
飛行試験は17回行われましたが、母機としてB-29の改良型を使用した最初の飛行試験では母機への帰還に失敗。
17回のうち発進に成功したのは7回、収容に成功したのはたった3回です。
爆撃機に搭載するための過小な機体からくる性能の低さや母機への収容の困難さなどから、計画は中止されました。
案の定ですね。
ちなみに、飛行試験の際には機体にソリを取り付けて不時着できるようにしていたようです。
実戦でそんなことをすれば性能がさらに悪化するのは必至。実用化されていたとしても使い物にならなかったでしょうね。
そんなこんなで、米軍は機体内収容式の寄生戦闘機の開発を断念。次なる寄生戦闘機として、Tip Tow計画を始動することになります。
次回 世界の迷機・珍機その3 「Tip Tow計画」