世界の迷機・珍機その1と3分の1 「ブラックバーン ロック」 -四連装の変態2-
「ブラックバーン ロック」
来ましたイギリスの迷機第2弾!
今回も前回に引き続き四連装機銃装備の戦闘機です。
スペック
全長:10.85m
全幅:14.02m
全備重量:3,606kg
エンジン:ブリストル パーシュースXII (905馬力)
最大速度:359km/h
航続距離:1304km
武装:7.7mm機銃×4
乗員:2名
当時イギリス海軍は超低空で接近する雷撃機を効率的に処理するための戦闘機を求めていました。そこで目をつけられたのが、前回紹介したボールトンポールデファイアントです。
i-201sennkou.hatenablog.comしかしながら、デファイアントに使われている空軍がマーリンエンジンを海軍に回すのを嫌がったため、海軍は独自に四連装機銃を持つ戦闘機を開発。「スクア」という艦上爆撃(戦闘)機をもとに「ブラックバーン ロック」が誕生しました。
四連装機銃を積んだ戦闘機の目的については上記のデファイアントの記事で詳しく解説しています。
ブラックバーンロックのもととなったスクアは、そもそも急降下爆撃を主任務とし、副次的に戦闘もこなすような機体であったため、速度が遅く戦闘機としては力不足でした。
そのスクアに重い四連装機銃を搭載すれば…どうなるか想像は容易でしょう。
ここで第二次世界大戦開戦時の各国戦闘機の速力を比較
・イギリス スーパーマリーンスピットファイア 約580km/h
・イギリス ホーカー ハリケーン 約520km/h
・ドイツ メッサーシュミット Bf109 約550km/h
・アメリカ P-40 約570km/h
・アメリカ F4F 約520km/h
・イギリス ボールトンポールデファイアント 約500km/h
ロックはというと…
驚くなかれ。なんと約360km/hなのです!
遅い!遅すぎる!
果たしてこんな機体が戦闘機として活躍できたのでしょうか?速力だけはまだマシなデファイアントでさえ大した活躍はできなかったというのに…
実戦
案の定、ロックは大した活躍はできませんでした。そもそも、速度が遅いロックはたいして使われなかったのです。戦闘機としてあまりに能力不足なロックは次第に「フェアリー フルマー」という単発複座戦闘機に置き換えられていきました。(単発機のくせに複座で重いフルマーの性能はお察し)
これでは何のために新しく戦闘機を開発したのかわかりませんね。
しかも、デファイアントとロックはほぼ同じような運用を想定された機体で、同じように7.7mm四連装機銃を装備していたにもかかわらず、別々の部品を使用していたために生産面で問題があったようです。
これも空軍と海軍の対立の好例と言えるのかもしれません。
ほぼ役に立たなかったロックの話はこれでおしまい。
次回は、デファイアントの競合機、ホーカー ホットスパーの話です。